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ナレーションを録音してみよう!

ナレーションを録音してみよう!
YouTubeに始まり、動画サービスが身近になった昨今、自社・個人で動画が作れるというのは大きなアドバンテージとなってきました。

今回は動画の要素の一つであるナレーションを、個人で機材を揃えて録音しようという試みです。本来はスタジオやそれなりの機材を用意する必要がありますが、最低限の環境で「自分でやってみたい」という初心者の方への参考になれば幸いです。

用意するもの

  • ヘッドホン・マイク・ポップガードマイク付きPCMレコーダー
  • マイクスタンド
  • ヘッドフォン or イヤフォン
  • ポップガード(息の破裂音防止)
  • リフレクションフィルター or 毛布(音の反響を防ぐ)
  • 音声編集ソフト

録音する環境

吸音効果静かで、かつ音が反響しない部屋が理想です。音楽スタジオが用意できるのであればそれが一番良いですが、自分で場所を用意する場合は下記の点に気を付けてみてください。

  • 鳥や虫の鳴き声などがしない屋内を用意する。
  • 近くに交通がある場所なら静かな時間帯を狙う。
  • 空調、時計、パソコン、照明など、音の出るものやノイズを発するものは極力排除する。難しい場合は毛布などを掛けると抑えられる。
  • 部屋の扉や窓は閉め、吸音効果があるのでカーテンがあれば閉めておく。洗濯物を干すように衣類を空間に配置しても効果あり

録音してみる

まずはマイクスタンドにPCMレコーダーを取り付け、息の破裂音を防ぐポップガードをマイク手前ギリギリの位置に設置します。次にレコーダーにヘッドホンかイヤフォンをつけ、録音される音がどんな音なのかをモニタリングできるようにします。(モニタリング用の製品だと尚良し)

レコーダー付属のマイクにそのまま喋ってみると、恐らく静かな場所で喋っているつもりでも、多少「サーッ」というノイズが聴こえたり、薄くエコーの掛かったような音に聞こえると思います。原因は防音と吸音が十分にできていないためです。毛布で吸音音楽スタジオであればこの点をクリアしやすいのですが、一般家屋や会社内で録音をする場合、リフレクションフィルターと呼ばれる音を吸収する壁をマイクの周りに設置するか、自分とマイクごと毛布をかぶり、マイクになるべく近づいて喋ることでこの現象が軽減されます。毛布をかぶるのは原始的で不格好ですが、安上がりに済みます。ただ、擦れるとノイズが発生するので注意しましょう。

あとは納得のいくまで何度も録音をするだけです。マイクとの距離や向きが変わってしまうと音質に変化が出てしまうので、口とマイクの位置は固定して録音するのがコツです。

外部マイクを用意する

必須ではありませんが、PCMレコーダーが外部マイクを接続ができるタイプであれば、別途マイクを用意して接続すると、より高音質での録音が期待できます。マイクには大きく分けて下記の2種類があります。

  • コンデンサーマイク電源不要で丈夫な「ダイナミックマイク」
  • 電源が必要で高感度・高音質だが、衝撃や湿気に弱い「コンデンサーマイク」

どちらでも録音は可能ですが、ダイナミックマイクはカラオケやライブに向いていて、コンデンサーマイクは楽器や音声の録音に向いています。ナレーション録音にはコンデンサーマイクがおすすめですが、録音機器にファンタム電源(48V)という電源が搭載されている必要があります。また、感度が高いので、どうしてもノイズが入ってしまうような環境しか用意できないのであれば、感度が低めのダイナミックマイクを使うのも手です。

録音した音声を整える

レコーダーで音声が録音出来たら、PCに取り込み、音声編集ソフトで編集します。音を整えることによってぐっと聴きやすくなり、BGMや効果音とも合わせやすくなります。
ソフトはいろいろありますが、Windows、Mac両対応の「Audacity」がフリーソフトでおすすめです。使い方はこちらのサイトを参考にしてみてください。

音声編集ソフト無音部分をカットする

まず、喋っている部分以外は不要なので、波形編集で声以外の部分を全てカットしましょう。この時音がある部分ギリギリまでカットして音が「ブツッ」と切れないように注意してください。

ノイズ除去

Audacityには「サー」というノイズを除去してくれる便利な機能があります。掛けすぎると必要な音まで除去してしまうので注意が必要ですが、ノイズがある場合は試してみるといいでしょう。

イコライザー(EQ)調整

EQは音の帯域毎に音量を調整できるエフェクトです。下記のように調整し、音声をくっきりと聞きやすくします。BGMと帯域がぶつかると聞き取りにくくなってしまうので、それを避ける意図もあります。

  • 72.0Hz以下:声に必要ない低域なので全カット
  • 166Hz:声がこもって聞こえるポイントなので少しカット(-4dbくらい)
  • 2650Hz:声の芯となる中域を少し強調して明るく(+2dbくらい)
  • 10400Hz以上:子音である高域を少し強調させてくっきりと(+2dbくらい)

まとめ

ボーカル録音動画制作にはさまざまなスキルが必要になりますが、ナレーションを綺麗に録音するだけでも多くの機材や知識が必要になり、とても奥が深く、ナレーション録音専門の業者がいるのも納得がいきます。
ちなみに今回紹介した方法は、基本的にはボーカルの録音にも使える知識ですので、より防音対策が必要にはなりますが、よかったら歌のレコーディングもしてみてください。
吸音や音の加工に関しては、やり方や工夫次第で様々な結果になるので、自分なりにいろいろ試してみても勉強になって面白いと思います。
ただ、声に納得がいかない場合はどうしようもないので、その時は諦めていい声の人を探しましょう…。

WEBプログラマー / O.K