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「オマージュ」「パロディ」「パクリ」3つの違いは?

オマージュ、パロディ、パクリデザインをする際に、他のデザインを参考にすることは常です。その際、「これ見覚えあるな」とか「あれと似てるな」というものを見かけることもあります。
パクリを疑われてメディアでバッシングを受けたり指摘される際に、「これはパクリじゃない、オマージュだ!」や「○○○をパロディとして~」と個々の言い分もあります。こういった場面でよく聞く「オマージュ」「パロディ」「パクリ」、それぞれ違いが曖昧なので調べてみました。

オマージュ

オマージュ芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。(Wikipediaより)

単純に「似たシーンがある」ことを指してオマージュとは言えません。尊敬・賞賛の意味を込めて、元の作品をそのまま流用するのではなく、独自の表現をもって表現されます。例えば、よく言われるのが「スターウォーズ」です。監督のジョージ・ルーカスが黒澤明の大ファンで、黒澤明作品の一部の要素を自分の作品に取り入れているそうです。あるシーンが黒澤作品のオマージュとして有名だったり。この元ネタを知らなくても作品自体は楽しめますが、知っているとニヤリとできます。知っている人にだけ伝われば良いものは「オマージュ」と言えます。

パロディ

パロディ現代の慣用においては他の芸術作品を揶揄や風刺、批判する目的を持って模倣した作品、あるいはその手法のことを指す。(Wikipediaより)

必ずしも批判しなければいけない、という訳ではなく、オリジナル作品を愛のあるユーモアで茶化したものは「パロディ」と言われます。例えば、ものまねや風刺画などの「元ネタは誰もが知る有名作品・人」で「笑いに昇華しているもの」です。誰も知らないネタを披露しても戸惑うだけですよね。見た人みんなに分かるように、かつ面白く構成するのが「パロディ」です。

パクリ

パクリ「パクリ=盗む」という意味では明治時代から使われていたようです。オリジナル作品をそのまま流用(コピー・トレース)したことが誰の目にも明らかであること、またはそれが疑わしいものに対して使われます。つまり「盗作」「盗用」ですね。例えば、ほんの一瞬しか見てもらえない街中のポスターでも、完成まで何日もかかっています。そんなオリジナルから特に苦労もせずに、創作的な表現を盗用することは、著作権法違反に問われる可能性があります。

結局、3つの違いは?

  • オマージュ=元ネタに対して尊敬・賞賛の念が込められている。元ネタが分かるとさらに面白い。
  • パロディ=批判・揶揄・風刺を目的に模倣している。元ネタがバレなきゃ始まらない、むしろ分かってほしい。
  • パクリ=利益のために創作的な表現を盗用している。元ネタがバレると困る。

ざっくり簡単に分類すると上記のようになります。
これを判断するのは、主に第三者です。作成者本人はオマージュのつもりでも、他人が見るとパクリだと受け取られてしまう可能性もあります。

著作権元ネタには原則として著作権があります。元ネタの著作権者の承諾を得ずに創作的表現を盗用(パクリ)することは著作権侵害に問われる可能性があります。 パロディ・オマージュの場合、元ネタのアイデアや抽象的なキャラクター設定など、表現それ自体でない部分を取り込んだにすぎない場合は問題になりませんが、元ネタの本質的特徴を取り込みつつ、オマージュ作品・パロディ作品を創作した場合には著作権侵害を問われるリスクがあります。 何が本質的特徴なのかは判断が難しいところですので、独断による創作はリスクがあることは認識しておきましょう。

グラフィックデザイナー / K.Y