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オリエンテーション無しに良いデザインは生まれない

オリエンテーション無しに良いデザインは生まれない!!デザインの現場ではよく何のオリエンも無しに2~3案デザイン案を出して、と言われることがあります。
「デザイナーならヒヤリング無しにかっこいいモノつくれるよね?」
そんな事を言われることも多々あります。クライアントだけでなく社内のディレクターでそんな事を言っている人は大抵、ヒヤリングが出来ていない、要望の目的や使用方法などが把握できていない場合がほとんどです。ただ、クライアントが想像できていないものを高い精度で提案していくことはデザイナーにとってのスキルであるとも思います。

しかし、そんなときは必ずと言っていいほどこんな事がおきます。

  • デザイン案が山のように増えていく
  • コンセプト違いで出した、A案のこの部分とC案のここを足してみて(←この場合は必ず元案に戻ります。)

誰もゴールが見えていないなぜこんな事が起きてしまうのでしょうか?様々な理由がありますが、一番大きな理由としては

  • 目的も分からず発注している
  • 誰もゴールが見えていない

そうです。オリエンテーション不足です。

目的や方向性は明確に

目的や方向性は明確にある雑誌のインタビューで読んだ大手食品メーカーの部長さんの記事を紹介します。
コンペを行う際、参加企業を呼んでその商品の目指すべき方向性やコンセプトを細かに説明し「A」という方向性を提示する。そうすると3社から3案でてくるとすると「A-01~A-09」という9案あり「A」という同じ方向性のなかから9案も様々なアプローチの案が提案される。
もし「A」という方向性を示さなければ、「A」はもとより「B」「D」「K」「N」などばらけた方向性の案が提案されてしまう。そのなかで「A」という方向性の提案は良くて2~3案になり、そのほとんどが出した次点でボツ案になってしまう。仮に誰も考えもしなかった「B」というすばらしい案が提案されたとしてもそれはその場限りのまぐれ当たり。そんな偶然で生まれるか生まれないか分からない案があるくらいなら複数の「A」案から、より精度の高い提案を選択できるのではないでしょうか?

では、もっと分かりやすく日常の生活のなかで自分が注文(発注)側だとどうでしょうか?

車の提案例えばクルマ屋さんに行って何の要望も予算も言わず、「何か良い車提案してよ」と言っているようなものです。そうすれば担当者は困り、ひとまずスポーツカーからファミリーカーまで大きな振り幅の提案をしていき徐々に絞っていく形になると思います。これには膨大な時間と労力がかかるだけでなく、自分自身も大量の提案から迷うばかりか、下手したら購入すること自体を考えてしまうかもしれません。
しかし、「予算は300万位で色は黒、子どもやおじいちゃん、おばあちゃんも乗せられるサイズがいいな」と言っただけでも車種はほぼ絞られ、それ以外のオプション等の提案へと移っていき、自分の望んだ以上の車へと最短距離で近づいていくのではないでしょうか?

まとめ

的確な情報や目的を少し極端な例ですが、デザインの現場でも日々このような事が起きています。現実問題、前述のようなオリエンテーション不足はほぼ無いと言っていいでしょう。ですが、クルマ屋さんの例のように、あれだけの情報でもあるのとないのとでは結果的に大きな違いとなります。的確な情報や目的を得られているだけで、時間が大幅に削減されクオリティ向上にもつながるのです。

グラフィックデザイナー / K.T