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VRを活用しよう!
分野別に見るビジネスへの没入体験活用事例

VR
VRゲーム先日、昨年7月にオープンした「VR ZONE SHINJUKU」に行ってきました。エヴァンゲリオンのパイロットになり使途を倒したり、翼のついた自転車で空を飛んだり…“没入体験”を存分に楽しんできました!PlayStation®VRの発売をはじめ、VR機器の開発やVR技術の活用がメディアでも注目されるようになり、2016年は「VR元年」と呼ばれました。

「VR元年」から2年。ゲームや映画などエンターテインメントでの利用が目立つVRですが、エンタメ業界に留まらず幅広い分野で普及し、著しい進化を遂げています。今回は、どんな分野でどのようにVRが活用されているのか、事例とともに紹介してみたいと思います。

ヘッドマウントディスプレイVRとは…
「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略で、日本語では「仮想現実」あるいは「人工現実感」と訳されています。コンピュータでつくられた3次元空間を、視覚やその他の感覚を通して疑似体験できる技術や方法のことをいいます。現在はゴーグル型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して体験するのが一般的です。

不動産:竣工前のマンションを体感できるVR体感ルーム

モデルルーム近鉄不動産は、名古屋市昭和区に分譲予定の新築マンション「ローレルコート滝川町ヒルズ」の販売拠点内に「VR体感ルーム」を導入しました。
未完成マンションの購入を検討する際は、モデルルームの見学が一般的。しかし、モデルルームの場合はマンションの専有部分は体感できても共用部分や眺望などは体感できず、顧客はパンフレットやパネルなどの平面的な情報からイメージするしかありません。VRなら、専有部分内だけでなくマンションの共用部分や周辺環境、窓からの眺めなども表現することができ、顧客は竣工後のイメージをよりリアリティをもって体感することができるので成約率の向上につながります。
また、VRならコンテンツ内の素材を差し替えるだけで新規物件のプレゼンテーションが可能。モデルルームの物理的な改築が不要なため、コスト削減と環境負荷の軽減にも貢献するというメリットもあります。
参考:近鉄不動産初!マンションのモデルルームに 「VR(仮想現実)体感ルーム」を設置

旅行:旅行前に現地を疑似体験

海外旅行旅行代理店大手のエイチ・アイ・エスは、海外旅行先のホテルの設備や客室を事前に確認できるVRコンテンツを関東地区の営業所全店(一部専門店を除く)に導入しました。顧客は日本の営業窓口にいながら海外のホテルの様子などを360度にわたりリアルに体感できるようになります。事前に現地をバーチャル体験することで、旅行前と実際に旅行に行った時に感じるギャップを埋め、顧客の満足度向上を図ることを目的としています。
参考:海外旅行は下見をしてから決める!関東地区営業所全店にVR導入 第一弾はハワイ24のホテル施設を360度ぐるっと見学

人材教育:VRで学ぶ!研修にVRを導入し効率化

従業員の育成にVRを導入している企業もあります。米KFCは自社の従業員育成用VRコンテンツを開発しました。バーチャル体験を通して従業員にフライドチキンの揚げ方を教育するという内容です。研修にVRを利用することで、研修生の能動的な参加を促し実作業前にスキルの定着を図ることができます。また、VRの場合は場所をとらずに大人数を同時に研修することができ、より効率的な研修が可能となります。米KFCのVRトレーニングはゲーム的な要素を多分に盛り込んでおり、研修生のモチベーションの向上も期待できます。また、実際の素材を使わずに研修ができるのでコストの削減にもつながるとのことです。
※VRトレーニングの様子は以下の動画で視聴できます。

参考:Watch KFC’s weird VR training game about frying chicken

国内では、セコムがVR技術を活用した研修プログラムを導入しています。危険を伴うため体験機会が限られてしまう研修も安全に疑似体験、学習でき、社員のスキルアップ及びサービス品質の向上が期待できます。
参考:警備業界初、VR技術を活用した研修プログラムを導入

ファッション:パリコレのランウェイを最前列で体感

ファッションファッションブランドのヨウジヤマモトは、2018年春夏パリコレクションのランウェイを体感できるVRコンテンツを一部ストアに導入しました。HMDを使って、お店にいながらパリコレのランウェイを最前列で見ているような臨場感を味わうことができます。ブランディングはもちろん、顧客の購買意欲を後押しする営業ツールとしても有効的です。
ファッション業界では今後も、平面では伝わりづらいブランドの世界観をよりリアルに「体験」できるようVR技術を活用していく動きがみられています。
参考:Psychic VR Lab、”ヨウジヤマモト” 2018年春夏 パリコレクションのランウェイを体感できるVR技術を提供

医療:VRで手術のシミュレーション

医療の現場では、患者の命がかかっているため失敗は許されません。医療分野に特化したVR事業を展開するHoloEyes(ホロアイズ)は、医師向けの手術シミュレーションサービス「HoloEyes VR」を開発しました。これまで手術の現場では、CTスキャンの画像など2次元のデータを元に執り行われていました。執刀医は2次元の情報を自分の頭の中で3次元に置き換える必要があり、それは医師にとっても負担の大きい作業でした。HoloEyes VRは、患者ごとのCTデータを3Dデータに変換。執刀医はHMDを使って立体的な「VR解剖図」を確認することができます。
※VR手術の様子は以下の動画で視聴できます。

患部の状態や位置関係を詳細に把握できるため、難易度の高い手術の支援ツールとして非常に有効的です。手術チームの円滑な情報共有・コミュニケーションを促し、手術リスクや患者の負担の軽減も期待されます。
参考:VRを用いるという“必然”を医療の現場に浸透させたい

さらに、子どもの注射に対する恐怖心など、治療ストレスの緩和にVRが有用かどうかを検証する実験も行われています。身近な医療の現場でVRが当たり前に使われる日もそう遠くないかもしれません。
参考:子どもの注射への恐怖を軽減するVRを使ったアイデア

まとめ

VR様々な分野で活用が進むVR。IT専門調査会社IDC Japanの発表によると、2021年の世界AR/VR関連支出は、2017年の約17倍、1,593億ドル(約18兆円)に達する見通しとのこと。今回紹介した分野に留まらず、今後もVRの市場規模が拡大していくことは確実です。消費のメカニズムや企業コミュニケーションのあり方も今後ますます「体験」や「リアリティ」を重視したものに変化していくのではないでしょうか。

WEBディレクター / H.E