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企業イメージを刷新するには?イメージ戦略はデザインが鍵

「デザイン」と「イメージ」。何だか難しい話になりそうなテーマです。
この2つの言葉でいくらでも記事が書けそうですが、ここでお伝えしたいことはただ一つ。

「イメージをデザインすることで全てが変わる!」

ということです。
大袈裟な表現です。それでも、あえてお伝えしたいのは、われわれ人間がイメージに支配されているということ。そして、そのイメージを思った通りに伝えられることは、ビジネスでも、プライベートでも重要なことなのです。

まずは、2つの言葉の定義を見てゆきましょう。
デザイン

  1. 建築・工業製品・服飾・商業美術などの分野で、実用面などを考慮して造形作品を意匠すること。
    「都市を―する」「制服を―する」「インテリア―」
  2. 図案や模様を考案すること。また、そのもの。「家具に―を施す」「商標を―する」
  3. 目的をもって具体的に立案・設計すること。「快適な生活を―する」
    引用:goo辞書

イメージ
[名](スル)心に思い浮かべる像や情景。ある物事についていだく全体的な感じ。心像。形象。印象。
また、心の中に思い描くこと。
「―がわく」「―をふくらませる」「企業―を高める」「電話の声から―した人と違う」
引用:goo辞書

ここでお話したい「イメージをデザインする」を辞書の定義で置き換えると、「ある物事について、いだく全体的な感じを、目的をもって具体的に立案・設計する」となります。
ぐっと意味が分かりやすくなったとおもいませんか?でも、なぜ、人が思い描くイメージを意図的につくる事で全てが変わるなんてことが起こるのでしょう?そのことについて、わかりやすい事例を二つご紹介します。

デザインでブランドを確立した「ユニクロ」

みなさん、「ユニクロ」をご存じですね。「ユニクロ」のTVコマーシャルも一度はご覧になったことがあると思います。そのコマーシャルを見てどういった印象をお持ちでしょうか?
おそらく、大多数の方が「かっこいい」という印象をお持ちになると思います。その印象はそのまま販売されている商品にも反映されます。今では、ユニクロを着て「恥ずかしい」と思う方はあまりいないと思います。
しかし、フリースパーカーが大ヒットした1998年は、ユニクロは「ダサい」というイメージが一般的でした。若い世代は想像もつかないことかもしれませんが、確かにユニクロは便利で機能的ではありましたが、デザインもイメージも「ダサかった」のです。アウターとして着るにはサイジングもデザインもいけていなかったのです。くわえて、ユニクロ自体の企業イメージも決していいものではありませんでした。
しかし、アメリカの衣料ブランド「GAP」を目指たイメージ改革はみごとに成功し、今や世界企業となりました。もちろん、事業の拡大は実質的な戦略あってのものですが、世界展開するには世界に通用するブランドイメージが不可欠です。

個人的な話になりますが、「ZARA」というスペインのアパレルメーカーがあります。ユニクロのちょっと高級版のようなものです。はじめてわたしが「ZARA」に出会ったのは大学生の頃です。今から20年以上前のお話です。当時は、ウェブも一般的でない時代で「ZARA」に関する情報がありませんでした。値札には色々な国の価格が表示されていて何だかあやしい雰囲気。しかも微妙な価格帯。大学生の私には安くもなく、とはいえ、高いわけでもなく、「ZARA」がどういったブランドかも分りませんでした。当時の私にはデザインも趣味があうものがみつからず、良く分からない服屋という印象でした。しかし、数年後、雑誌などから「ZARA」がどういう位置づけのブランドであるのかがわかると、急に親近感がわいたのです。年齢的に趣味が合ってきた。それも理由のひとつですが、「ZARA」というブランドを理解することで、躊躇なく「ZARA」で買い物をするようになったのです。今や日本でもおなじみの「ZARA」のお話でした。

TVコマーシャルの話に戻りますが「ユニクロ」のTVコマーシャルは、iPhoneの「APPLE」や、おしゃれでリーズナブルなアパレルメーカー「H&M」と同じように、どの国で流れても通用するビジュアルで一貫したブランドイメージを与えています。この2つの企業に対して「ダサい」という印象はありませんね。
ユニクロのイメージ戦略の成功は、商品自体のデザインはもちろん、ロゴやサイト、印刷物などあらゆるデザインに力を入れ、著名なアートディレクターを登用し、「ユニクロ」ブランド確立のために力を注いだ結果です。

デザインで企業イメージを大きく変えた「ヤンマー」

次に「ヤンマー」についてお話しします。
30代以上の方は「ヤンマー」と聞けばすぐに、ある歌を連想すると思います。そうです、「ヤン坊マー坊天気予報」です。完全に記憶に擦り込まれているので、「ヤンマー」のイメージは音楽と共に流れたアニメーションの田園風景とかぶります。前述の「ユニクロ」とは全く違うイメージです。しかし、この企業の実態はディーゼルエンジンを主力製品とする世界企業です。欧米ではマリンエンジンのシェアが60%あるナンバーワンブランドであり、2006年には自社発のプレミアムブランド「AZULE」も立ち上げています。一方、日本では一般消費者にとって農業機器が身近な存在のために、なかなか泥臭いイメージが抜けません。
そこで、「ヤンマー」は2014年、ユニクロでも起用されたデザイナー:佐藤可士和氏を迎え、「プレミアムブランド」を目指し、ブランドの確立に乗り出しました。まずは、プレミアムブランド「ヤンマー」のサイトをご覧下さい。
プレミアムブランドについては上記のURLをみていただけば分かると思いますが、以前の「ヤン坊マー坊」のイメージと比較するとその違いは、一目瞭然です。企業が提示するブランドイメージがその企業全体を表し、末端の製品にまで大きく影響を及ぼすことを考えれば、その企業がなりたいイメージを自ら発信し、浸透させることは、売上げや事業拡大において必要不可欠な事だということはお分かり頂けると思います。

自らをデザインし、目指すべきイメージに到達させる

2つの世界企業を例に、イメージをデザインすることの大切さを説明しました。これらの企業は大規模で、明確なイメージ戦略のもと、経費をかけ、人員をさき、あらゆる媒体を利用して、新しいイメージを浸透させてゆきました。
「わたしたち、中小企業には関係ない話。」そう吐き捨てるのも当然です。でも、ちょっと考えてみて下さい。このお話は、個人にも同じように当てはまるのです。
例えば、ダンスが大好きな大学生Aさん(男性)がいるとします。Aさんは独自にダンスを学び、そのテクニックもなかなかのもの。しかし、Aさんの外見はスポーツ刈りで、服はネルシャツとデニム。それもサイズが全く合っていません。正確なイメージのために補足すると、アキバ系ファッションです。そんなAさんは一緒に踊る仲間を見つけたがっています。しかし、ダンスを趣味にする大学の同級生たちはそんなファッションのAさんに見向きもしません。彼らは、Aさんを仲間だと認識していないのです。仮にAさんのダンスを見て興味を持ったとしても、友だちになり、一緒に踊るようになるには彼を理解するための時間が必要になります。なぜなら、Aさんの持つイメージがダンスと重ならないからです。一方、もともと持っている身体的特徴は置いておいて、Aさんの外見がエグザイルの様な風貌だったら、非常に分かりやすいサインになります。もちろん、エグザイル風だからと入ってダンスが上手いとは限りませんが、そのイメージとダンスで鍛えた肉体が合わされば、Aさんのイメージはダンスと結びつく部分が強くなります。
イメージをデザインすることは、時にその人が望む方向へと進む手助けになります。私たちが外見を気にして、少しでもかわいく、かっこよくなりたいと思うのは、それによってより人に好かれたいという欲求があるからです。これは、多くの人が無意識のうちに実行しているイメージ戦略です。女性がしっとりしおらしいイメージを与えたい場合、多くはロングヘアーを選ぶでしょう。中性的なイメージを狙う場合、女性は髪を切り、男性は髪を伸ばします。

ここまで、イメージづくりの大切さについてお話しましたが、全体のイメージを目指すべき場所までもってゆくには、デザインが必要とされる事柄(人や会社、製品、販促物、サイトなど)に一貫した基準が必要です。その基準をつくり、守り続ける役割を担うのがデザインという仕事です。
個人であれば、ご自分をご自身でデザインするということになります。企業であれば、社内のデザイン部、または外部のデザイン会社がその役割を担います。「イメージから企業の方向性を自ら発信する」という戦略に、企業の規模は関係ありません。チラシ1枚からでも、人は何らかのイメージを持つのです。年に一度の会社案内、毎月折り込むチラシ、毎週更新するサイト、毎日のブログ、そのどれをとってもおろそかにはできません。せっかく企業のイメージにふれてもらうチャンスがあるのに、そのイメージを軽視するのはチャンスロスに値します。

まとめ

ビジュアル面に焦点をあてて、お話ししてきましたが、言葉もまた同じようにデザインすべきものです。SNSやウェブサイトを通じての広報活動がイメージづくりの一環を担うのは、発信する言葉(情報・内容)にもイメージを喚起する力があるからです。企業であれば、ターゲットに向けて有益な情報を発信することでユーザーにとっての価値が上がります。伝えるべきイメージは様々ですが、やはりビジュアル同様、一貫した基準でデザインする必要があります。それは、抽象的で明文化しにくい基準ですが、そのことに注力するか、しないかは大きな差をうみだすでしょう。人に例えてみれば、分かりやすいと思います。いつでも話すことに一貫性がある人と話すたびに方向性が変わる人。好き嫌いは別として、分かりやすく安心できるのは前者だと思います。

情報を伝える手段が多様化した現在だからこそ、イメージをデザインすることが重要になります。
あなたが、もしも、イメージをデザインする仕事をするときには、思い出してみてください。

「イメージをデザインすることで全てが変わる!」

クリエイティブ局 WEBデザイナー / Y.E